ちなみに、そのまんまコピペじゃなくて微妙に加筆修正してあります。
つってもほとんど気にならないと思うけど。
シロートの書いたものなんで、読む人は心して読めよ!
文句言うなよ!わかったな!絶対だからな!!
『殻を作りたくなかった』
「ねー、ナッちゃん」
ペンを手に紙と睨めっこしていたカイリが、顔を上げて私を呼んだ。
机に向かっていると邪魔な長い髪を耳にかけたままだ。
新鮮なその姿がまた愛らしく、抱きついてしまいたくなってしまうけど、我慢だ。我慢。
「なぁに?」
周辺の観光地を検索していたケータイをソファーに置き、天使へと向き直る。
視界はホテルの一室。
私たちは、ふいにやってきたシルバーウィークなんていう連休に乗っかって、温泉地に旅行に来ていた。
メンバーは私とカイリの二人!私は幸せだ。このまま死んでもいい。かも。
「アキに送るお土産に、お手紙も一緒に入れとこうと思って書いてたんだけど、文だけじゃ埋まらなかったの」
“お手紙”とやらを真剣な顔で見つめながら、小首を傾げる姿がまた……いやいやいや。
アキ。高城アキ。
カイリの幼なじみで、私の怨敵だ。
眉目秀麗で、頭もよくきれ、運動もできる。……と書くと完璧超人のようにも思えるけど、その実コミュニケーション能力が絶無。
人と関わろうとせず、近づいてくる人物をことごとく遠ざける変わった習性を持っているのだ。
幼なじみだからか、構ってちゃんが過ぎるため諦めているのか、カイリに対してはさほどでもないのだけど。
カイリが彼をこの旅行に誘ったとき、折角の好意を用事だか何だかで断ったので彼はこの場には居ない。
私は最初から猛反対していたので、彼が来ないと聞いて正直ホッとした。
そんなアキにわざわざお土産を買ってやるなんて……。
しかも直筆の手紙まで添えてもらえるなんて羨ま……いや、恨めしい。
「何かいいのないかなぁ?簡単に描ける絵とか。うーん。」
背もたれに身を預けて頭を抱えている。
その瞳は私を頼り、潤んでいる。ような気がした。
「そうだねー」
正直言うと、アイツなんかのために頭を使いたくはないんだけど……。
他でもない愛しいカイリのためだ。頑張って考えよう。
……そうだ。
いいことを思いついた。
「そういえばアキ、カタツムリが好きって聞いたよ」
カタツムリ、簡単だよね、と言いながらカイリの目を見つめる。
静かな湖のような、深い緑色をたたえたその瞳に吸い込まれそうになりながらも、じっと見つめ、どうかな?と押してみる。
もちろん、アキがカタツムリが好きなんていうのは、嘘。
むしろ、カタツムリが嫌いという噂を耳にしたことがある。
ま、いつも面倒な目に会わされてる身なんだし、これくらいのイタズラは許されるよね。うん、許される。全然大丈夫。
「かたつむり。カタツムリかぁ……」
人差し指を唇に当てて思考する姿がまたなんともいとおしい。
白金の前髪をくるくるいじりながら、しばし黙考する。
カタツムリってそんなに悩むほどのものだっただろうか、というツッコミは野暮で無粋なのでしない。
「うん、いいかも!それならわたしにも描けるよぉ!」
グッと親指を立てて意気込むカイリを見て、計画通り……と悪魔の笑みがこぼれそうになるのを抑え、静かに微笑んでみた。
「やっぱりナッちゃん頭いいなぁー、ありがとー!」
早速ペンを握りながらそんなことを言っているカイリを見ていると、若干罪悪感のようなものが湧きそうになったけど、なかったことにした。
*****
やたらとメロディアスなインターホンが鳴る。
アキは、待ってました!とばかりにソファーから身を起こし、玄関へと走った。
宅配のおじさんにご苦労様ですと愛想よく挨拶をし、差し出された伝票にハンコを押す。
満面の笑みでありがとうございました!と叫び、宅配のおじさんを見送った。
箱を抱えてソファーに腰を落ち着け、伝票を見る。
「……ん。カイリ?」
どうやら、楽しみにしていたものとは別の物が届いたようだった。
そういえば、宅配の会社が違ったような。
梱包されている箱も、思っていたものより小さい。かも。
「はぁ」
つい落胆の溜め息を漏らしてしまったが、気を取り直し、カイリよりの箱を開封にかかる。
テープをカッターでサクッと切り、フタを開ける。
すると、大量のプチプチの中から、フクロウのストラップが出てきた。
この小ささならもっとマシな梱包もできただろうと思いながらふと箱を見ると、底に紙が残っていた。
「ム?」
丁寧に折られた紙を無造作に開き、読んでみた。
紙面には、旅行先での出来事やおいしかったもの、綺麗だった景色などについて延々と自慢が連ねられていた。
そして、土産を送った旨について書かれた後、空いたスペースに小さくイラストが描かれていた。
「これは、ナメクジ、か……?」
ウミウシのような、ナメクジのような。
とりあえず何がしかの軟体がやたらぐねぐねした線で描かれ、その軟体から出た吹き出しに「ヨロコベ!」と書かれていた。
幼なじみの相変わらずの奇行に思考を巡らせながら、アキはほぼ自慢で埋められた手紙を閉じた。
開封したストラップは、学校用のカバンの外蓋を開いた部分、外に出ないジッパーにぶらさげておいた。
*****
幼なじみ×ナメクジというテーマで書いた短編。
別にアキやカイリやナツキなんて使わなくても書けたとは思うんだけれども、せっかくの新キャラ、動かしてみたくなるというものです。
というわけで、前半ナツキ主観、後半アキ主観で書いてみたっちゅーわけですのね。
今回のナツキはまだ全然抑えてるというか大人しい方だけど、それでも結構カイリにメロメロで。
ぶっちゃけ書いてて楽しい。
うん。
人物(この場合カイリ)を描写するのが好きなんで、ここぞとばかりに見た目や仕草を表現してみてます。
追々、他キャラから見た他キャラの描写もやっていきたいところ。
いきなり誰かの息子や娘っこを使わせてもらうかもしれないけど許してちょーだい。
昔一言でいえば『やる気とラブのない耳すま』みたいな小説を起承転結の起の部分の起承まで書いてて、今はモバゲーに放置してある。
そしてボクもシウで書きたい気分。
それって、耳すまらしさがほとんどない上に、現状まったく物語進んでないじゃあありませんかっ!
絵、模型、写真、、、。
苦手なもの:においが強いもの