今回は若干気持ち悪い話となっておりますので、初心者の駄文とそういうのが嫌いな人はどうかスルーしてくだすぁいな。
今回も文句は何も受け付けません!
感想は喜んで!コメントにおねがいします!はあはあ!
『浮游』
大丈夫だって。もう何も悪いところなんてどこにもないよ。と、アキの目の前で男は言った。
欠席続きの彼の様子を見てきてほしい――教師からの申し出だった。
普段から極力人と関わり合いになるのを避けているのに、何故か頻繁にこんな仕事を頼まれる。
しかし、断る理由も特にないため、渋々承諾したのだった。
「……魚」
アキがふと口を開いた。
「飼ってるんだな」
視線の先には大きな水槽。
「うん。ディスカスだよ」
目にも鮮やかな体躯を翻して水中を舞う熱帯魚を横目に、彼は笑った。
ちゃんと登校していた頃にはなかった目の下のクマが目立つように思えた。
*****
友達が水面をつついている。エサが欲しいのだろうか。
くだらない。
ほら、外を見ろ。飼い主だ。
友達の様を肴に、会話を弾ませてる。
『エサ、欲しがってんじゃないのか』
『みたいだね。後であげるよ』
などと言っている。
ヤツが、飼い主の野郎が水面に落とすエサ――違う、エサに似た何かだ――を食べて、たくさん友達が死んでった。
一見エサのようだけど、違う。
ボソボソして、見るからにまずそうで。
ふざけんな。冗談じゃない。
僕はあんなもの食べない。
絶対媚びなんて売らない。
そんなことをするくらいなら死んだほうがマシだ。
僕は、真っ白な涙を流しながら、水槽の底のコケを舐めた。
このまま“浮く”まで、何ひとつだってしてやるもんか。
*****
「なんで俺が、とかは聞かないんだな」
アキがさも不思議そうに疑問を投げ掛けると、待ってましたとばかりに彼は微笑ってみせた。
「おおかた、先生に頼まれたんだろうと思ってね。でもありがとう。わざわざこんなところまで来てくれて嬉しいよ」
その微笑みに何故か、不意に背筋に氷を這わされたような感覚をアキは覚えた。
どこかじっとりと湿った、冷たい笑みだった。
ふと反らした視線の先、水槽の脇に置かれたものが気になったが、そんなことより早くここを、この部屋を出たかった。
暗いのだ。
明るさとかそういう問題ではない。
空気がとても湿り、重く感じられる。
それに、何か鼻腔を突く匂いをわずかだが感じる。
淀み……としか表現し得ない感覚が、アキの不安を駆り立てていた。
差し出されたオレンジジュースに手を伸ばしかけたが、それすら今は喉を通らない気がして、手を引いた。
*****
ああ、またひとり。
飼い主の友人が家を去ってから、水面に落とされた無数のエサ。
それを必死に食べた友達が“浮いた”。
僕の目の前で、また純粋ないのちが闇へと消えてしまった。
意識が朦朧とする。
視界がしろく濁る。
ああ、飼い主様。
純粋を、白を弄ばれ、ボロボロになった僕たちは、あなたたちを……。
裏表がなく、嘘が大嫌いで、偏見で人を判断せず、とてもステキで尊敬できる人ばかりのあなたたちを……。
深く心から愛し、慕っています。
極大の皮肉を込めて、口を動かす。
だけど、声は出なかった。
オレンジジュース。
テーブルの上だ。
ガラスの向こうに見える。
あれもきっと違う。紛い物だ。
飼い主はおかしい。違ってしまった。
あの人は飲まなくて正解だった。
そして僕も――。
明るく飾られた水槽の、真っ暗な絶望の底へ、最後のいのちが浮いていった。
*****
見舞いに行った家を出てすぐさま、アキはひとつ深呼吸をした。
玄関扉をくぐっただけで、こんなにも空気がうまい。
あの空気は、匂いは、一体何だったのか。
考えたくもない。寒気がするし、そもそも面倒はきらいだ。
さっさと帰ろう。
「駄賃だよ」と教師から渡された120円でジュースでも買おう。
ジュースくらいしか買えないが、というか、つまりジュースを買えということだろう。
今は炭酸がいい。とにかくスッキリしたい。この行き詰る感覚の名残を消してしまいたい。
ただ。
ただひとつ気になることがあった。
あの部屋の……水槽の脇に、無造作に置かれたコルクボード。
四隅から細かく破られていた。あれは一体。
背中に湿り気のある視線を感じながら、アキはその場を去った。
喉がやけに渇いている。オレンジジュースは素直にもらっておくべきだったか。
*****
水槽×コルクボードという結構難しいテーマで書いた短編。
テーマはくじで決めてるから仕方ない!
けど、このなんか不安になる感じは気に入ってます。
飼い主の狂ってそうな感じとかね。
「不安の種」みたいな、何も解決しない感じは好きなのです。
んじゃまた。
ある日郵便局のバイトで200円渡されたけどそれでもジュースしか思いつかないし、さらに太っ腹感が少しある。
さあそろそろ2話目かくかな。
ただの面倒くさがりじゃなくて、「勉強も運動もできて生活態度も悪くないという優等生を演じているヤンなヤツ」と考えるとアラ不思議!!
200円もらったら普通に嬉しいな!
俺なら使わない!(ぉ
絵、模型、写真、、、。
苦手なもの:においが強いもの