大切な、すごく大きなひとを失った。

突然……ではないんだけど。
予兆はあった。何も感じていなかったわけじゃあない。

けど、俺の手の届く範囲にはいなかったし、いたところで俺にはどうしようもなかった。

その人も、ずっと悩んで決めたことだった。
他に方法はなかったみたい。



その人には本当に色んなことを教わって。

その人の言葉は素敵なこともくだらないこともすごく印象的で。

いつも優しく強くて、大きな愛をもっていた。

俺はそんなその人のことを、いつの間にか父親みたいに思ってた。
その人の価値観がとても好きで、俺もいつかその人のようになりたいと思っていた反面、そうはなりたくないなと思っているところもまあそれなりにはあった。

もっとたくさん教わりたかった。
あの人のつむぐ言葉をもっと胸に刻みたかった。

しかし、ここにいないものは仕方ない。
もう会えない。

けど、いつかまた会うと誓った。
次に会うときは、俺も絵描きの卵ではなくなってるとも。
最期に贈れなかった絵を、感謝の言葉を、ちゃんとしたかたちで、いつか届けにゆくと。
約束した。

いつか持っていきます久留米さん。
俺は、僕、シロタカは、あなたを慕っていた。
今でも慕っています。



まあそんなわけで。

俺は神様は信じてはいないけど(祈ったってなんもしちゃくれねえ)、天国とか地獄はともかくとして、死後の世界はあってほしいと思っている。
苦労のない世界があればいいなと。
死は怖いことではないんだと思いたい。

いつかそこで、一度は別れた人たちとまた会えると、信じてる。
だから生まれ変わりなんてなくたっていいよ。
俺が、俺たちが行くからさ。

何年何十年かかるかわからねえけれども！
待っていてください。